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「学力の経済学」を読んで。子どもはほめてはいけない。ご褒美で釣るべきだ。

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子どもの教育のために是非読むといいよ、と人にすすめられた「〇〇の経済学」という本。調べてみると「幼児教育の経済学」という本もあった。どっちだ?!


前回紹介した「幼児教育の経済学」は、社会政策の観点で教育を研究・分析したものだ。その主張するところは、幼少期の教育が株式以上のリターンを生み出すという点だ。

 

今回紹介する「学力の経済学」は、家庭での子育ての観点で教育を研究・分析したものだ。その主張するところは、他人の勝手な子育て論に踊らされるなという点だ。

 

ちなみに、本書は某図書館で136人待ちらしい。恐ろしい恐ろしい。

 

教育経済学が導き出す正しい教育リテラシー

教育経済学とは、経験則ではなく、データを用いて教育を経済学的に分析するものだ。

 

もちろん、子育てに正解などない。たが、周りから勝手な子育て論を押し付けられた経験は、子のいる親なら一度や二度ではないだろう。

 

そんな「サンプル数:1」の無責任な口出しに踊らされるくらいなら、長年に渡る実験データから導き出される教育経済学の結果はきっと参考になる。

 

子どもはご褒美で釣ってもよい

「今ちゃんと勉強しておくのが、あなたの将来のためなのよ」

 

これは「幼児教育の経済学」で、ヘックマン教授が明らかにした事実だ。幼少期の教育が株式以上の投資リターンを生み出す。

 

たが、人間には目先の利益が大きく見えてしまう性質がある。将来手に入る10万円より、すぐ手に入る目の前の1万円に手が伸びてしまう。

 

これは子どもに限らず大人にも言えることだ。人はよく「将来を売りとばす」。

とにかく、欲しいものは「いますぐに」手に入れなければ気がすまず、やりたくないことはすべて明日へ延ばしてしまいます。

「スタンフォードの自分を変える教室」

 

裏を返せば、目の前にご褒美をぶら下げることで、今勉強や読書をすることの利益を大きく見せることができる。「目の前ににんじん」作戦は、効果的だ。

 

ご褒美で釣るなら、結果よりもプロセスを評価する

テストの結果(アウトプット)よりも、読書や宿題などの日々のプロセス(インプット)に対してご褒美を与えた方が効果がある。

 

結果に対してご褒美を設定されても、子どもはどうやれば結果が出せるのかがわからない。そのままテスト当日まで無為に過ごすことだろう。

 

それよりも、ご褒美で釣って勉強の仕方を教えた方がいい。予習や復習、宿題や読書だ。結果が出るまでには時間がかかるので、プロセスの方が「目の前ににんじん」作戦を実践しやすい。

 

まとめると、効果的なご褒美は以下の通りだ。

  • 結果(アウトプット)ではなくプロセス(インプット)に
  • 遠い将来ではなく近い将来に

 

子どもはほめて育ててはいけない

子どもの自尊心を高めるようなさまざまな取り組みは、学力を押し上げないばかりか、ときに学力を押し下げる効果を持つ

 

ほめてもらえれば子どもの自尊心は満たされる。しかし、それは実力の伴わない自尊心だ。親以外からの評価にさらされると、もろくも崩れ去る。

 

親だからといって、色眼鏡のかかった評価ばかりしていては、子どもは正しい自己認識を持てずに混乱してしまう。

 

下手なほめ方をするくらいなら、ご褒美で釣った方がいい。

 

子どもをほめるなら、結果や能力ではなくプロセスをほめる

物のご褒美で釣る代わりに、ほめることを子どもに対するご褒美だとする親もいるだろう。僕は「やりがいの搾取」みたいで好きになれないが、ご褒美としてではなく素直にほめたいときもある。

 

そんなときは、「頭がいいのね」ではなく「よく頑張ったね」とほめる。

 

才能をほめると、良い結果が出たときは「自分は才能があるからだ」と考える。悪い結果が出たときは「自分は才能がないからだ」と考える。

 

才能や結果をほめることは、子どもに負の思い込みを植え付ける。

 

結果ばかりほめていると、子どもは悪い成績をとったときに、それを隠すようになる。

 

子どもをほめるときには、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げることが重要です。

才能や結果をほめるのではなく、具体的な行動に言及する。アクショントークというやつだ。

 

これは、大人同士のコミュニケーションでも大事なことだ。

 

学力よりも大事な非認知スキル

幼児教育による学力やIQへの効果は、実はごく短期間のものであることがわかっている。だが、学力やIQとは違って、「自制心」や「やり抜く力」などの非認知スキルを身につけると、その効果はずっと続く。

 

「幼児教育の経済学」にも詳しいが、身に付けた非認知スキルによって、自分で新たなスキルを身につけることができる。スキルがスキルを生み出す正のスパイラルとなる。

 

子どものテストの結果に一喜一憂するのが、馬鹿らしく思えないだろうか。

 

非認知スキルは大人になっても鍛えることができる

「自制心」は、まるで筋肉のように鍛えることができる。つまり、負荷をかけては回復を繰り返し、それを継続するということだ。

 

最初から負荷をかけるような無茶はしない。ただ、少しずつ負荷をかけては休むことを繰り返していく。楽なほう、楽なほうへと流されないようにする。少し頑張ったらすぐに休む。一日一日を積み重ねていく。

「細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理する」ことが自制心を鍛えるのに有効であると多数の研究で報告されています。

 

「やり抜く力」は心の持ちようで鍛えることができる。心の持ちようとは、思い込みや決めつけの誤りに気づき、正しい認識を持つということだ。

 

過去で未来は決まらない。だが、「どうせ自分にはムリ」「また同じ結果になる」と固く信じる人は多い。そんな思い込みの例外を見つけては、繰り返し自分を説得していく。

「自分のもともとの能力は生まれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる」ということを信じる子どもは、「やり抜く力」が強いことがわかっています。

 

そのほかの本書のテーマ

本書にはそのほかにも多くの事例が紹介されている。以下にその一部を抜粋しておこう。

 

  • テレビやゲームは1日〇時間までなら子どもに悪影響を及ぼさない
  • 「勉強しなさい!」はエネルギーの無駄遣い?
  • 「友だち」が与えるさまざまなプラスとマイナスの影響
  • 「少人数学級」は費用対効果が低い?
  • 「子ども手当」は費用対効果が低い?
  • 学力テストの都道府県別順位は意味がない?
  • 「いい先生」はどんな先生?

 

ちなみに、多くの研究で男子より女子のほうが成績がよいことが明らかになっているが、はっきりとした理由はいまだにわかっていないらしい。

 

おわりに

格差や貧困が問題視されると、「資本主義における富の搾取構造」や「所得の再分配の仕組み」について言及されることが多い。

 

だが、正しい知識がないままに富を再分配しても、分配された富をもう一度搾取されてしまうだけだ。

 

目先の散財でお金を貯められず、進学を諦めてしまう人が出るのが現実だ。進学のために借りたお金が返せず、日々のATM手数料で預金が目減りするのが貧困だ。

 

 

本書によると、もっとも費用対効果が高い教育は「正しい情報」らしい。やはり、多くの子どもたちに、多くの本を読んでもらいたいと思う。

 

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 

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