瞑想のやり方やコツとその効果を、できるだけ詳しく言語化してみた【新宮 慶 式】
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最近ではマインドフルネスが有名になり、瞑想を実践している人は多いと思うが、その具体的な方法を公開している人は少ない。
瞑想に正解なんてないし、自分に合ったやり方を見つけるしかない。他人のやり方をそのまま真似ればいいというものでもない。ただ、最初の入り口でつまづいてしまう人も多いと思う。
そこで、僕が実践している座禅による瞑想方法を、流れに沿って紹介したい。瞑想は科学だと思っているので、できる限り曖昧な表現にならないよう言語化してみたつもりだ。
最初に断っておくと、とても長くなってしまった。できるだけ見出しを分けて、目次もつけてみたので、気になったポイントから試してみてほしい。
目次
- 1. 自分の外側を整理する(気にすることをやめる)
- 2. 身体の準備をする
- 3. 心の準備をする
- 4. 姿勢を整える
- 5. 呼吸へ意識を集める(瞑想を始める)
- 6. 自分の内側を整理する(考えることをやめる)
- 7. 外側の世界を実感する(気づく)
- 8. 内側の世界を実感する(気づく)
- 9. 呼吸から意識をはなす(瞑想を終える)
- 10. 姿勢を崩す
- 瞑想の肉体的効果
- 瞑想の精神的効果
- 思考のループから抜け出し、具体的な行動につなげる
- おわりに
1. 自分の外側を整理する(気にすることをやめる)
まずは、瞑想に集中するための環境作りだ。人間は簡単に集中力が途切れ、気が散ってあれこれ考えてしまう。それを避けるために、事前の策を講じておく。
コツ① 目に入る範囲を片づける
まずは部屋の掃除だ。散らかった洗濯物や雑然とした布団が目に入る状態で、意識を集中するのは難しい。簡単にでもいいので、見える範囲はきれいにしてしまおう。人によっては、部屋中に雑巾がけをするなど、ここに一番時間をかける場合さえあると思う。
コツ② 心が落ち着く音楽を流す
聴覚にすぐれた人は、心落ち着く音楽を流すことで、逆に集中力を高めることができる。瞑想に慣れていない場合も、音楽によって他に気をとられることが少なくなるのでおすすめだ。次第に慣れてくると、逆に音楽が気になって集中できなくなる場合もあるので、そこからは音楽なしで瞑想に取り組んでみよう。
瞑想に使える環境音やヒーリングミュージックなどは、いろんなアプリが出ているので一度調べてみるのもいいだろう。
コツ③ 部屋の扉や窓は閉める
部屋のドアを開けていると、何かがそこを横切るかもしれない。窓を開けていると、騒音や風が入ってくるし、季節によっては暑さや寒さが気になるかもしれない。そういった刺激を減らすために部屋を閉め切る。
コツ④ 部屋のあかりを消す
部屋の様子が気にならないように、あかりを消して薄暗くする。完全に真っ暗にしてしまっても、次第に目が慣れてくるので薄暗く見えてくる。心配なら多少見える程度に光を取り入れる。
コツ⑤ デジタル製品は目に入らない位置に移動する
スマホやPCなどのデジタル製品は、画面を閉じて、目に入らないようにする。音楽やタイマーでアプリを利用する場合も、目につかないように身体の横に置くこと。
2. 身体の準備をする
身体が緊張していると、なかなか瞑想に集中できない。できるだけリラックスできるような体勢を整えていく。
コツ① 鼻の通りをよくしておく
呼吸をしやすいように、鼻の通りをよくしておく。瞑想は必ず鼻呼吸で行うため、鼻が詰まっていると瞑想にならない。鼻の通りをよくしておくことは、日常でも大事なことだ。
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コツ② ゆったりした服装にする
足を組んだり、呼吸をするのに邪魔にならないよう、できるだけゆったり余裕のある服装にする。
僕はいつもパジャマだ。
コツ③ 簡単なストレッチを取り入れる
身体をほぐすために、簡単なストレッチを取り入れてみてもいい。ここでも、身体の緊張を解くことや、足が組みやすいこと、呼吸がしやすいことを意識する。
- 堅くなりやすい腰回りは、左右に回して稼働域を広げておく。
- 固定してしまう足は、事前に足の指をグーパーグーパーと広げておく。
- 呼吸をしやすいよう、お腹を一度前に出し、自然に元に戻す。
- 緊張しやすい肩は、一度ぐーっと耳まで上げて、吐く息と共に降ろす。
- 猫背で前かがみになりやすい人は、空を見上げながら胸を開き、呼吸と共に戻す。
- 最後に一度深呼吸をする。
コツ④ 筋弛緩法を取り入れる
身体の緊張をほぐす方法として、「筋弛緩法」がある。無意識に力が入っている箇所の筋肉に、意識してギューっと力を込める。すると、力を抜いて脱力するときに、一緒に緊張も解けるという理屈だ。潜在意識による身体の緊張を、顕在意識によってコントロールすることができる。
コツ⑤ 自律訓練法を取り入れる
身体ではなく意識によって緊張を解く方法として、「自律訓練法」がある。これ自体が一種の瞑想みたいなものだが、身体をリラックスさせるのにとても効果がある。手足の重さや温かさ、鼓動や呼吸の動き、お腹と額の温度を感じように言葉を念じていく。
なかなか言葉では説明しにくいので、試しにやってみたいという人は、「寝たまんまヨガ」というアプリをおすすめしておく。
3. 心の準備をする
心の準備といっても大したことはない。瞑想を始めたら途中でやめないことと、毎日続けるということだ。そのために、いくつかの準備をしておく。
コツ① 同じ場所、同じ時刻、同じ動作で始める
瞑想は習慣化しないと効果が薄い。そのため、しばらくは続けていくことを心に決める必要がある。その上で、続けるためには、動作をルーティーン化するのがよい。毎日同じ時刻に、同じ場所で、同じ動作から瞑想を始める。
瞑想する時間帯は、朝か夜がおすすめだ。一日の始まりに「どんな一日にしたいか」を感じてもいいし、一日の終わりに「どんな一日だったか」を振り返ってもいい。朝は外出の準備を、夜は寝る準備を終えてからの方が、焦らずじっくり瞑想ができる。
また、毎日同じ条件で繰り返すことで、心と身体の変化に気づきやすくもなる。わずかな変化でも、その効果を感じることができれば、続けるためのモチベーションになる。
コツ② 短い時間から始める
最初から何十分も瞑想に集中などできない。まずは、中断する必要がない長さから始める。毎日続ける意味でも、短い時間の方がいい。続かなかったとしても、手軽に再開できるような短さがいい。
- 最初は短く5分から。
- その後10分までは楽に行けると思う。
- 15分まで行くにはかなり慣れが必要になってくる。
実際には、部屋や身体の準備で余計に時間がかかる。所要時間は+5分と考えておこう。
コツ③ 瞑想を終えるきっかけを準備しておく
自分の好きなタイミングで瞑想を終えていいことにしてしまうと、いつやめようかと考えてしまう。タイマーをセットするなど、自分の意思が入らない形で瞑想を終えるきっかけを作っておく。座禅では鐘を鳴らすことで、瞑想の始まりと終わりの合図をする。
コツ④ 通信機器は機内モードにしておく
スマートフォンなどの通信機器は、あらかじめ「機内モード」にしておく。着信や通知に邪魔されないようにするためだ。アプリによっては、「機内モード」にしておかないと、着信や通知でタイマーが止まってしまうことがある。
コツ⑤ 瞑想することを家族や同居者に伝える
さあ、最初の難関だ。一人暮らしならいいが、誰かと同居している場合、瞑想することを伝えるかどうか、という問題が生じる。宗教的なものではないかと心配されたり、やったことがない人にはなかなか理解が得られないことが予想される。
結論から言うと、いつかはバレるし、いつかは伝える必要が出てくる。
最初は、自分も効果を実感できていないので、こそこそ始めてもいい。だが、隠し続けていると、バレたときのことが気になって瞑想に集中できなくなる。これが結構なストレスになってくる。
言葉でうまく説明できない場合は、宗教色の強くない書籍などを買ってきて、家に置いておくのもいいアピールになるかもしれない。
コツ⑥ 最後に一度深呼吸する
いくら準備をしても、何かやり残したことがないか気になったりする。気になったまま瞑想を始めると、どんどんそれが大きくなって、瞑想に集中できなくなる。
だから、心の準備を終えたら一度ゆっくり深呼吸してみる。ひと呼吸おくことで、確認の時間がとれるし、ひと呼吸の間に何も思いつかなければ、あきらめて次のステップに移りやすい。
4. 姿勢を整える
身体の細かい動作や姿勢を気にしだすと、いつまでたっても瞑想を始められない。細かい点はできるだけ後回しにして、まずは始めてみた方がいい。すぐ始めるには「雲堂」というアプリと、その解説動画が大変参考になる。
<ここからは、常に呼吸の流れを意識しながら進める。>
コツ① お尻をひざより高くする
お尻を高くすると自然と姿勢がよくなる。そうすると、お腹の稼働域が広がり、腹式呼吸もしやすい。お尻の後ろ半分だけで座るようにする。尾てい骨だけで座るイメージだ。
- 座布団があれば、それを二つ折りにしてタテに使う。ヨコにすると座布団が沈んでしまって、尻が高くなりにくい。
- 座布団がない場合は、枕やクッションを2〜3個重ねて使う。高さが出やすいように、できるだけ堅いものがいいだろう。
- 足を組むのがきつい人は、椅子に座ってもいい。
- 座禅用の坐蒲(ざふ)というものもあるが、最初からここまで準備する必要はないだろう。持ってる人がうらやましい。
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コツ② 動きがちな足を固定する
貧乏ゆすりに代表されるように、足は勝手に動きやすい。そのため、できる限り両足を固定する必要がある。
- 両足を反対のモモに乗せて座る。これを結跏趺坐(けっかふざ)という。
- 両足がきつい人は、片足だけ反対のモモに乗せて座る。これを半跏趺坐(はんかふざ)という。
- 片足もきつい人は、椅子に座り、足の裏をぴったり床につけて離さないようにする。
コツ③ 手のひらを上に向ける
両手はどのような形であれ、必ず手のひらを上に向けておくようにする。手のひらを下にしてしまうと、足に熱が伝わりやすくなるし、手の力で姿勢を維持してしまいがちだ。
- 右手の上に左手をのせ、両手の親指を自然に合わせる。親指はお腹の丹田(たんでん)というところの前におく。これを法界定印(ほっかいじょういん)という。
- もしくは、左右のひざに手のひらを上にして置くだけでもいい。親指と人差し指で円を作る場合もある。
コツ④ 身体を左右に揺らして重心を探す
お腹で呼吸しやすいように、下半身を左右に揺らしながら重心を探す。肩が緊張しないように、上半身を左右に揺らしながら重心を探す。力を抜いても姿勢が崩れない位置が身体の重心だ。
コツ⑤ 筋肉を使わず骨で座る
力を抜いても姿勢が崩れないようにするためには、筋肉ではなく、骨で座る必要がある。お尻は尾てい骨だけで座る。背骨は下から一つずつ積み上げるように乗せていくイメージだ。
コツ⑥ 視線は目の前の床におく
あごを引いて斜め45%にし、視線は約1メートルほど先の床を見下ろす。どこを見るというわけではなく、ただ床に視線を下すだけにする。部屋の掃除をしておかないと、気になってそちらを見てしまうので、事前の準備も重要だ。
コツ⑦ 半眼にしてインプットを減らす
五感の中で視覚が一番情報量が多い。瞑想の邪魔になるインプットを減らすために、目を閉じる。ただ、完全に目を閉じてしまうと、逆に音や匂いに敏感になってしまう。そのため、はっきりと見えないくらいの半眼にするのがちょうどいい。
もちろん、慣れないうちは完全に目を閉じてもいい。
コツ⑧ 動きを遅くしてアウトプットを減らす
こちらも難関だ。足を固定して、力を抜いた状態で座っていても、必ずかゆみやしびれが気になったり、眠気や名案が降ってきて、いてもたってもいられなくなることがある。
慣れないうちは、多少の動きは許容してみてもいい。ただし、衝動的な動きはやめて、できる限りスローモーションで動くようにする。ゆっくり動くだけでも自分をコントロールできているということだ。
5. 呼吸へ意識を集める(瞑想を始める)
瞑想の基本は呼吸だ。呼吸へ意識を集めることで、落ち着きと集中力の両方が得られる。呼吸を通して、自律神経を整えることができるからだ。
体温調節や血流などの生命維持活動を司る自律神経は、普通はコントロールできるものではない。だが、呼吸は無意識にでも意識的にでも行うことができる。そんな呼吸に意識を集中することで、潜在意識に働きかけることができるといわれる。
<ここからは、できるだけ深く、できるだけゆっくり呼吸する。>
コツ① 口呼吸ではなく鼻呼吸
基本は吸うときも吐くときも鼻呼吸だ。慣れないうちは鼻から吸って口から吐いてもいい。だが、口だと一気に吐いてしまうので、すぼめるか狭めるかして、ゆっくり吐くようにする。運動でもしない限り、吸うのはどんなときも鼻からだ。
コツ② 胸式呼吸ではなく腹式呼吸
お腹の動きだけに集中して、胸は自然に動くに任せる。腹一杯に息を吸えば、胸も広がるはずだ。腹式呼吸だからといって、胸がへこむわけではない。腹式呼吸に慣れるには、とにかくお腹の動きを意識することが重要だ。
コツ③ 腹筋の動きを意識する
試しに、一度息を吐き切ってみてほしい。吐き切ったと思ったら、そこからさらにお腹を腹筋でへこませてみてほしい。どうだろう?もっと息を吐くことができたのではないだろうか。このように、腹式呼吸はお腹を意識して動かすことが重要になる。
コツ④ 丹田を意識する
試しに、へその下、下っ腹のあたりを手で触りながら、腹式呼吸をしてみてほしい。お腹の中で一番へこみ、一番膨らむ頂点、それが「丹田(たんでん)」だ。この丹田を大きく動かすように意識して呼吸すると、最大限に深く、大きな呼吸ができることになる。
コツ⑤ 吸う方より吐く方を長くする(意識する)
試しに、自分の呼吸を観察してみてほしい。吸うことばかり意識していないだろうか。呼吸というと、どうしても酸素を取り入れようとしてしまい、吸う方に意識が向かいやすい。意識して吐く方を長くすると、呼吸全体が深く、ゆっくりしたものとなる。
コツ⑥ 吸った後に少し呼吸を止めてみる
試しに、一度息を吸ってから、息を吐く前に、呼吸を止めてみてほしい。ギリギリまで我慢してから呼吸を再開すると、自然と深く、ゆっくりと息を吐けるようになる。多少おおげさな呼吸になるが、呼吸を意識するには、おおげさなくらいがちょうどいい。
コツ⑦ 音を立てて呼吸してみる
試しに、音を立てるようにして呼吸してみてほしい。こちらも自然と大きな呼吸になるはずだ。繰り返しになるが、呼吸は多少おおげさなくらいがちょうどいい。慣れてくると、歯を食いしばった口角のあたりから、声にならない声が漏れてきたりする。
コツ⑧ 一定のリズムで呼吸を刻む
呼吸法を習得するのは結構な難関だ。多くのことを意識しながら呼吸するには限界がある。そのため、最初はリズムが崩れないことを重視して、呼吸の長さを数えながら「吸って」「吐いて」を繰り返すのがおすすめだ。他のコツは徐々に取り入れていく。
数える数はさまざまで、自分に合ったものを探すしかない。ここでは、とっかかりとしてよくあるリズムを書いておこう。
- 吸って:止めて:吐いて=3:3:7(長く吐くことを意識したリズム)
- 吸って:止めて:吐いて=3:7:7(深く吐くことを意識したリズム)
- 吸って:止めて:吐いて=5:3:7(より自然な呼吸に近いリズム)
数える数は、人それぞれなので、比率や長さは自由に変えてみてほしい。しっくりくる数が決まる頃には、数を数えなくても呼吸に集中できるようになっているはずだ。
6. 自分の内側を整理する(考えることをやめる)
ここが瞑想で一番の難関だろう。「考えない」「自己との対話」「無になる」などと言ったところで、それを実践するのはすごく難しい。
姿勢や動きと違って、他人のやり方を見ても、頭の中身まではわからない。ここでは、僕なりの理解を言語化して説明したいと思う。
- 「考えない」とは、思考の代わりに実感をもつことだ。僕らの頭は勝手に暴走するバカモノだ。
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- 「自己との対話」とは、考えずに観察することだ。無意識に思考するバカモノを、もう一人の自分だと捉える。
- 「無になる」とは、暴走するバカモノまでおとなしくなることだ。不意に観察対象がいなくなって戸惑う。
処理中のCPUを整理できるはずもないので、まずはメモリーから整理していく。メモリーが整理できると、CPUはやることがなくなってシュンとする。後には、整理されたメモリーの中身と、インターフェースからのインプットだけが残る。
- CPU=バカモノ
- インターフェース=五感
- インプット=外側の世界から得られる実感
- メモリー=幼少期から続く記憶
メモリーの奥には、本当のあなたが眠っている。
<ここで、タイマーをセットする。座禅であれば始まりの鐘が鳴る。>
<ここからは、意識がそれるたびに呼吸へ意識を戻すことを繰り返す。>
コツ① 呼吸へ意識を集中する
繰り返しになるが、呼吸へ意識を集中していく。上述の通り、最初は一定のリズムを数えるようにする。呼吸を観察する。呼吸を通して、空気の温度を感じる。気がそれたら、呼吸に意識を戻すことを繰り返す。
コツ② 考えないようにしようとしない
「考えないようにしよう」などとは思わないこと。そう思えば思うほど、逆に頭から離れずに考えてしまうからだ。思考そのものを捨てる必要がある。脳(バカモノ)が勝手に思考を始めたら、呼吸に意識を戻すことを繰り返す。
コツ③ あるがまま、ありのままに受け入れる
考えないようにすると、どんどん考えてしまう。悩みをかき消そうとすると、どんどん悩みにとらわれる。そんなときは、「あるがまま」「ありのまま」に一度受け入れてしまうと楽になる。
とはいっても、「あるがまま」「ありのまま」に自分の感情を受け入れるのは結構な難関だ。次に書く通り、取り除こうとせずに、ただただ観察し、嵐が過ぎ去るのを待つ。
コツ④ 取り除こうとしない
頭(バカモノ)が勝手に考えてしまうからこそ、悩みは悩みとなる。それを取り除こうとすると、脳(バカモノ)はどんどん反抗してくる。怒りや嫉妬、悲しみや後悔などのネガティブな感情が湧いてきたら、呼吸に意識を戻すことを繰り返す。
- かゆいものはかゆい。
- 眠いものは眠い。
- 考えてしまうのは仕方ない。
- 悩んでいるのは仕方ない。
そして、呼吸に意識を戻す。
コツ⑤ ただただ観察する
取り除かないでどうするかというと、ただただ観察するようにする。脳(バカモノ)の思考を観察する。見つめる。唱える。念じる。言語化する。実況中継する。言い方はいろいろある。そして、呼吸に意識を戻すことを繰り返す。
- 自分はかゆいんだなあ。
- 自分は眠いんだなあ。
- 自分は考えているんだなあ。
- 自分は悩んでいるんだなあ。
そして、呼吸に意識を戻す。
コツ⑥ 過ぎ去るのを待つ
ただただ観察していると、いつの間にか脳(バカモノ)もシュンとする。負の感情も、最初の波が過ぎ去ってしまうと、一気に楽になるものだ。感情の第一波に飲み込まれるかどうか、そこが鍵となる。
さらに大きな感情が沸きあがったら、歯を食いしばって、丹田に力を込める。そうやって、嵐が過ぎ去るまで、呼吸に意識を戻すことを繰り返す。
- かゆいのは今だけ。
- 眠いのは今だけ。
- 考えてしまうのは今だけ。
- 悩んでいるのは今だけ。
そして、呼吸に意識を戻す。
コツ⑦ 雑念を手放す
感情が過ぎ去るのを待ってやり過ごしても、脳(バカモノ)が勝手に呼び戻してくるだろう。そんなときも、取り除こうとせず、ただただ観察し、過ぎ去るのを待ち、呼吸に意識を戻す。そこは変わらない。
だが、何度も繰り返すうちに、悩みや感情がどうでもよくなるタイミングが訪れる。そうすればしめたものだ。雑念を手放すことができれば、脳(バカモノ)が勝手に負の感情を呼び戻すことはできなくなる。ここまでくれば、瞑想の効果を大いに実感できるはずだ。
- かゆくてもいい。
- 眠くてもいい。
- 考えてしまってもいい。
- 悩んでいてもいい。
そして、雑念は消えていく。
7. 外側の世界を実感する(気づく)
思考が整理されると、一気に視界が開けるタイミングがやって来る。五感が冴えわたり、外の世界を強烈に実感する。ただ、心穏やかで静寂のようにも思える。「なんで、目の前のことをちゃんと見れていなかったのだろう?」そんなことを考えながら、周りをゆっくりと見渡す。
- 半目でも、身体を動かさなくても、なぜかよく見渡せる。
- 遠くから雑踏までもクリアに聞き取れる。
- 舌の上に残るかすかな味までも感じる。
- 身体と床との接点、上唇と下唇の接点などを感じる。
- 身体に触れる空気の動きを感じる。
- 身体が触れている箇所の温度が伝わってくる。
- 鼓動でかすかに身体が動くのを感じる。
- 鼓動と共に全身に血流が行き渡るのを感じる。
- 血流によって手足の先まで駆け巡る温かさの波を感じる。
思考のループに陥っていた感覚が外に向く。実感を通して、過去でもなく、未来でもなく、「今を生きている」ことを強く感じる。
このような感覚は、よく内側の世界と外側の世界がつながる感覚、心と身体の境界がなくなる感覚などと言われる。
8. 内側の世界を実感する(気づく)
外側の世界を実感できるようになると、同じように自分の内側の世界を実感できるようになる。思考を手放すことで、「自分はどうしたいのか」がちゃんとそこにあることに気づく。
過去の記憶が整理されて、幼少期から続く自分のコアが見つかる。気づいてしまうと、なんてことないことのように思える。それは初めからそこにあったのに、今まで気づいていなかっただけだ。
<タイマーのアラームが鳴る。座禅であれば終わりの鐘が鳴る。>
<ここからは、呼吸への意識をほどき、自然な呼吸に戻していく。>
9. 呼吸から意識をはなす(瞑想を終える)
すぐに身体は動かさず、鐘やアラームの余韻を味わいながら、徐々に呼吸から意識を離していく。最後に一度深呼吸をする。
もちろん、日常の中で呼吸や瞑想を行うことも大変効果があるが、無理に始めずに慣れてからにする。
コツ① 気づいたことを声に出す
気づいたことや直感で感じたことを声に出してみてもいい。声に出すことで、改めて自分の本当の気持ちに気づき、行動に移しやすいこともある。
コツ② 気づいたことをメモに書く
すぐ忘れる人は、どこかにメモとして書いておいてもいい。後で読み返しやすい場所がいいだろう。僕はToDoを兼ねたカレンダーアプリに毎日記録している。
10. 姿勢を崩す
急に動くのではなく、ゆっくり身体を揺らしたり、ストレッチしたりしながら、徐々に姿勢を崩していく。
瞑想の肉体的効果
よく言われる効果としては、呼吸を通して自律神経が整い、五感が冴えるという点があげられる。食事をおいしく感じ、ぐっすりと眠れ、身体を動かしたくなる。
だが、僕が一番感じている瞑想の効果は、「呼吸・姿勢・瞑想」を日常的に実践できるようになるという点だ。浅い呼吸、猫背、自動思考(反芻思考・繰り返し思考)などの問題行動を日常的に意識して改善できるようになる。
「呼吸・姿勢・瞑想」は、「食事・運動・睡眠」と同じくらい、健康にとって大事なことだと思う。慣れてくると、座ってるだけでも、歩きながらでも、電車の中でも、オフィスにいても、瞑想できるようになる。
姿勢を正し、半目にして、呼吸に集中するだけだ。
瞑想の精神的効果
よく言われる効果としては、リラックスやリフレッシュ、集中力向上やパフォーマンス向上などがあげられる。よく休み、よく働く、そんなことができるようになるというわけだ。
イライラや落ち込みなどに対する自己コントロール力の強化も期待できる。結果としてストレス軽減にもつながるし、心の不穏な動きにブレーキをかけることができるようにもなるかもしれない。
だが、僕が一番感じている瞑想の効果は、「今、本当にやりたいことに気づく」という点だ。好きなことややりたいこと、本音や直感だ。
さあ行動に移そう。
思考のループから抜け出し、具体的な行動につなげる
頭から離れない悩みがあると、いくら考えないように努力しても、頭が勝手に考えてしまう。ただ、五感で自分や周りのことを実感しながら考えると、悩んでいるのは頭(バカモノ)の勝手な「思考」であって、やりたいことは「行動」だったと気づく。
「やるべき」「やめるべき」と、「やりたくない」「やめられない」の間を揺れ動くのが行動につながらない自動思考(反芻思考・繰り返し思考)だ。
- 「仕事に行きたくない」は、「仕事に行かなければならない」の裏返し。
- 「お酒をやめられない」は、「(本当は)お酒をやめないといけない」の裏返し。
「やりたい」「やりたくない」と、「やる」「やらない」の間を揺れ動くのが行動につながる思考だ。
- 「仕事に行きたくない」が、本当に「仕事に行かなければならない」のか。そこに気づけば、人に相談したり、今後に向けて準備するなどの行動につながる。
- 「お酒をやめられない」が、本当に「お酒をやめないといけない」のか。そこに気づけば、お酒の怖さを調べてみたり、断酒してみるなどの行動につながる。
自分が繰り返してしまう思考のクセに気づけば、未来に向かって一歩踏み出すことができる。
おわりに
何度も「呼吸」が出てきたと思うが、とにかく瞑想は「呼吸」がキーワードだ。これでもかというほど、呼吸に意識を戻すことを繰り返していく。
実際には順番通りには行かず、行ったり来たりしながら、徐々に瞑想に入っていくことになる。毎回全部できるわけでもない。最初はほとんどうまくいかない。
だが、多くの人が効果があると言っているなら、あなたも試してみる価値は十分にあるはずだ。自分でも効果を実感できたなら、自然と続けられるはずだ。ただ、試してみないことには、やり方や瞑想自体があなたに合っているかもわからない。
最後に、僕が瞑想を始めるきっかけになった本を紹介しておく。もし、質問や相談があればこちらへどうぞ。